新聞切り抜き 長時間労働

引用元:朝日新聞 2017年4月22日(土) be report 「人はなぜ長時間労働するのか」 

 「働き方改革」の一つとして長時間労働の是正が進められている。残業時間に上限が設けようとしているが、そもそも長時間労働がやまない原因は何かを検討する。

「週50時間を超えるあたりから、メンタルヘルスが顕著に悪化する傾向が認められる」という結論を導き出したのが、早稲田大学の黒田祥子教授と慶応大学の山元勲教授だ。

 法定労働時間は月40時間。月30時間の残業をするとすると、労働時間は月70時間。黒田祥子教授の調査結果によると、 労働時間が長くなる程メンタルヘルスは悪化する。自分の時間を好きに使えず、好きなことを我慢し、精神的肉体的に疲労する。労働時間が長いと会社が支払う残業代が増える。管理者はマネジメント能力不足を指摘される。以上から、労働時間は短ければ短い程よい、というのが真理だと考える。

 

同じ労働時間でも、ストレス耐性や性格の違いから、疾患の発症や不調の訴えには差がある。

個人の努力でストレス耐性を上げることは可能だろうか?

長時間労働には、たばこや酒と同じような習慣性があるというのは大阪大学大竹文雄教授だ。「一度長時間労働すると、それに慣れて、苦痛でなくなる。働きすぎれば健康を損なうにもかかわらず、やめるのが難しい」。ちなみに子供の頃、夏休みの宿題を後回しにしていた人ほど、週60時間以上働く傾向が強く、「中毒になりやすい」とか。

黒田祥子教授の調査結果によると、労働時間が月60時間を超える辺りから仕事満足度が高まる傾向が出てくる。

長時間労働で成果や評価を上げたい気持ちは誰にでもある。禁止されていなければ、勝つために運動選手がドーピングに手を出すのと同じ。だが、それではだれもハッピーにならない。

労働時間は短ければ短い程よい、と考え、生産性を上げる努力を企業、個人が行うことが必要。個人ができることは、日々の仕事の学びを定着させ、仕事の質と効率を上げていくこと。それを、『楽しみながら』やることが大事である。